2012/03/01掲載
  
学生からのメッセージ vol.9
 
念願の卒業を迎えて
 
半澤 真宏 さん
  Masahiro Hanzawa
 
(教養学部) 「心理と教育」コース修了 
 
 
卒業が決まり、喜びいっぱいの半澤真宏さんとお母様(所長室で)
 
 
  栃木学習センターの本年度の卒業生の中に視覚障がい者(全盲)の半澤真宏(はんざわまさひろ)さんという卒業生がいます。2004年4月に入学し、8年かけてこの度見事に卒業し、学士号を獲得されました。
 お母様とともに半澤さんに来ていただき、所長がインタビューして、これまでの苦労話や卒業の喜びについてうかがいました。
 
 

 
 
Interview
 
 
 
◆どういうことで放送大学を知りましたか。入学するきっかけは何だったのですか。
 
放送大学というのがあるということは、テレビとラジオで知っていました。入るきっかけは、鍼灸院を開業した後、8年間ほど近くの老人ホームにマッサージのボランティアで通っていたのですが、この時の入所している方との交流から、入所者の心の問題に向き合う必要があることを感じ、介護保険の導入のこともあって、もっと勉強しなければならないと思ったことです。最初は、イメージがつかめず、しばらく迷った後に入学を決心しました。
 
 
◆卒業までに何年かかりましたか。
 
2004年4月に入学したので、8年かかりました。専門学校を卒業していたのですが、編入学できることを知らなかったため、最初からやるつもりで入学しました。入ってから、編入学できることを知ったので、いったん退学して、編入生として再入学しました。
 
 
◆放送大学に入る前はどういう学校で学んできたのですか。
 
わたしは中途失明で、10歳まではある程度視力がありました。それで、最初は普通学校に通っていました。5年生の時、網膜剥離となり全盲となりましたので、以後は盲学校(栃木盲学校)に通うこととなりました。途中から失明したので、点字を習得するのに大変困難がありました。そのため、この時期と重なったので、英語の勉強は基礎が十分に学べず、放送大学に入ってから苦労しました。盲学校卒業後は、国立塩原視力センターで鍼灸を学び、資格を取りました。
 
 
◆放送大学での勉強について。勉強の仕方はどのようにしたのですか。
 
まず、教科書を点訳してもらう必要があります。これは、各地の点訳サークルにお願いしました。大変親切に対応していただきましたが、間に合わない場合もあり、その場合は母に墨字の教科書を読んでもらって勉強しました。また、漢字とか図表など、点訳でわからないところも母が助けてくれました。放送教材についても、その時間に聞けないことが多いので、最初の頃は母にテープで録音してもらっていました。
 

◆困難であったこと、つらかったことについて、話してください。
 
最初は勉強の仕方がわからなくて、通信指導問題にとまどったり、準備が間に合わないままに試験に臨むこともありました。慣れてからは、1週間に1章と決め、教科書を自分でまとめるようにしました。とにかく、分量が多く、半年で終えるのは本当に大変です。昼間働いているので、夜2時くらいまで勉強しました。平均すると1学期に3科目くらいのペースで単位を取っていきました。試験に落ちると、受験科目数が増えて次の学期が大変でした。また、外国語の単位は基礎的な勉強をしてこなかったので、大変苦労しました。近所の中国語の勉強会に通ったこともあります。また、面接授業でも外国語の単位が取れるので、大いにお世話になりました。なお、面接授業は知らない人とふれあう機会となり、大変新鮮でした。
 

◆放送大学の勉強がご自分の仕事に役に立つことはありますか。
 
鍼灸マッサージを職業にしていますが、患者さんと接していて、現代は心の問題が大事であるということを痛感しています。患者さんの中には、やって来てマッサージはいいから悩みを聞いてくれという人がいるほどです。放送大学の授業科目の中から、心理学関係の科目を多く取りました。心の問題について広く知ることができたと思っています。特に、幼児期・青年期の問題や発達障害のことなどを知り、これからの仕事にプラスになって行くのではないかと思います。
 

◆現在の心境と今後の抱負について語ってください。
 
最初は、正直言って、卒業できるのか、と思っていました。でも、今はやって本当によかったと思っています。お世話をしてくださったセンターの皆様に感謝の気持ちで一杯です。また、いつも親切に対応してくれた点訳サークルの方々にも感謝しています。今後も放送大学で勉強を続けるつもりです。とりあえず、大学院の選科生に進もうと考えています。以前から、経絡治療学会に所属し、月に1回東京に通って講習会を受け、新しい技術を身につけるようにしています。常に学び続けることが必要であると考えています。
 

◆お母様から一言お願いします。
 
わたしも息子の付き添いとして面接授業に来て、一緒に勉強させていただきました。大変勉強になったと思っています。特に、太田先生の「記憶の心理学」と丁先生の「韓国語」が記憶に残っています。ともあれ、今は卒業できたので、本当によかったと思っています。
 
 
 
◆インタビューを終えて◆
 
半澤さんとお母様の輝くような笑顔が印象的でした。8年間という長い期間、困難にめげず、目標を失わなかった半澤さんと、その半澤さんを陰から支えたお母様には本当に頭が下がります。放送大学は障がいのある方に対しても開かれた大学です。半澤さんに続く方が現れることを期待しています。
 
 
 
 
所長室で鯨井所長と歓談する半澤真宏さんとお母様。