2010/03/24掲載
 
 
学生からのメッセージ vol.2
 
 
仲間とともに学ぶ喜びがある
 
澤田 ソノ さん
Sono  Sawada
 
(教養学部・全科履修生) 
「人間の探究」「発達と教育」「生活と福祉」専攻修了
「社会と産業」コース在籍
 

サクラのように優しい笑顔の澤田さん。栃木学習センターアトリウムにて
 
 
 
栃木学習センターには教職員が一目置く学生がいます。澤田ソノさん、81歳。教養学部全科履修生として3つの専攻を修了し、現在履修している専門コースも修了間近という、すばらしい学歴の持ち主です。在籍は通算18年。放送大学で学ぶきっかけは何だったのか、勉学に対する思いとは――。澤田さんにお話を伺いました。
  
 


Interview
 
 
戦争という名の影

 もっと勉強したい――そう思ったときに放送大学があったのです。

 私は宇都宮の生まれです。女学校に通っていた頃は太平洋戦争の真っただ中でした。学校といっても当時は勉強どころではありません。皆生きるのに必死、そういう時代でした。1~2年生は農家へ手伝いに行き、3年生になると中島飛行機製作所に通ってジェラルミンの胴体の穴開けの仕事などをしました。戦争末期になると大谷の地下軍需工場でも働きました。そして終戦。戦後になって学校で授業が再開されたものの、実質1年半勉強しただけで卒業となってしまいました。

 人間とは不思議なもので、勉強しろと言われるとしたくないものだけれど、勉強したい時期に出来ないと、たまらなく勉強したくなるものです。そんなこともあって女学校を卒業したあと、宇都宮にある英語の専門学校に2年間通いました。とりわけ英語に興味があったわけではありません。とにかく何かを学びたかった。

 それから就職し、結婚、やがて子供が生まれ……。実家の家業を手伝っていた時は、英語の知識を生かして、近所の子供たちに勉強を教えたこともありました。

放送大学との出会い

 こうして日々忙しく過ごしながら50代を迎えた頃だったでしょうか、改めて「勉強しよう」と思い立ちました。たとえば新聞を読むにしても、生活・社会面には目を通すけれど、1面の政治・経済のニュースになると、いまひとつ理解できない。用語も難しい。これではいけない、と。それに「自分は学びが足りないのではないか」という思いが、心のどこかにずっとあったのだと思います。

 最初は宇都宮高校(通信制)で学んでいたのですが、そこで放送大学のことを知り、平成4年(1992年)、選科履修生として入学しました。当時は栃木県に学習センターがなかったため、大宮にある埼玉学習センター所属の学生でした。とにかく学習センターの雰囲気がよかった。センターを訪れると、実にたくさんの学生が声をかけてくれるのです。これはこうしたほうがいいよ、あれはああしたほうがいいよ……。じっくり学びたいのなら全科履修生のほうがいい。そんなアドバイスをくれたのも学生の仲間でした。こうして全科履修生として新たに学ぶことになったのです。


 
なぜ学び続けるのか

 ふり返れば、放送大学に在籍して18年。「人間の探究」「発達と教育」、「生活と福祉」専攻を修了し、現在は「社会と産業」コースを履修中。あと十数単位取得すれば卒業という状況です。近頃は1学期に3~4科目履修するのがやっとという感じになってきましたが、体力が許せば、グランドスラム――残りの「自然と環境」コース修了――にも挑戦したいと思っています。

 なぜ、放送大学で学び続けるのか。今では勉強そのものというよりも、人々との交流、ふれあいを求めて……というところでしょうか。昔はごく日常的に「近所でお茶を飲む」という習慣がありましたね。ちょっと家に上がってお茶を飲み、おしゃべりし、情報交換する……。だんだん失われつつある、このいい風習が放送大学の学習センターにはあるような気がします。今でも学習センターに行けば、みなさんが気軽に声をかけてくれる。ベテランの学生さんを通じてさまざまな情報が耳に入ってくる。面接授業や土曜ゼミ、公開講座に参加すれば、あの先生の講義が聴ける。そこでさまざまな人々に出会える。そう、私は昔から人の話を聞くのが大好きなの。ですから、学習センターに足を運ぶだけで刺激を受けるというか、楽しいのです。
(談)

※2010年3月13日取材
 
※旧専攻「人間の探究」「発達と教育」「生活と福祉」は、2009年度より「人間と文化」「心理と教育」「生活と福祉」コースにそれぞれ移行しています。

 
 
 
澤田さんは修得した英語の感覚を鈍らせたくないと、現在でも月~金曜日に1日45分、英語のラジオ講座を欠かさず聴いているとのこと。趣味は日本舞踊で毎週教室に通っており、その合間に放送大学の授業を視聴しているそうです。
<栃木学習センター・アトリウムにて>



 
 
 
時々、着物姿で学習センターに訪れる澤田さん。日本舞踊や華道が趣味というだけあって、さすがに着物姿がきまっています。「日本舞踊は体にいいの。普段は体のあちこちが痛くて辛いけれど、踊りはじめると自然に体が動いてしまう。不思議なのですけれど」。今年も8月からほぼ毎月公演があり、コミュニティセンターや公民館などの各施設で教室の仲間とともに舞台に立つそうです。
<栃木学習センター玄関にて>