キャンパスの四季 2010/09/21
 
 
 
 
キンモクセイの香り
 
 
気むずかしい花木
 
 この夏は本当に異常気象で、9月に入ってからも暑い日が続きました。それも、ようやく峠を越したようです。日に日に秋の気配が感じられるようになりました。峰キャンパスの木々の葉も少し色づいてきています。春ほどの華やかさはありませんが、これから秋を彩る花々がちらほらと目につくようになります。その中で、短期間ですが、その圧倒的な芳香によって存在感を現すのが、キンモクセイです。

 キンモクセイは日本にもとから自生していた植物ではなく、比較的新しく江戸時代に中国から伝来したと言われています。移入されたため、本来は雌雄異株なのに、日本には雄株しかなく、結実を見ることがありません。ところで、庭木としてこの木はたいへん環境を選びます。もともと比較的暖地の樹木であるようです。日本の各地で県や市町村の木に選ばれていますが、その大部分は関東以西です。最近は温暖化が進んでいるので東北地方でも栽培は可能と思いますが、かつては宇都宮辺りが北限でした。米粒のように細かい花を木全体につけるのですが、花つきは日当たりによります。日陰になるとよく花がつきません。環境汚染にも弱いと言われています。わたしは庭にこの木を植えたことがあるのでよくわかるのですが、花つきは、また、その年の気象条件に大きく左右されます。花の時期も天気によって大きくずれます。そういう意味では気むずかしい花木と言っていいでしょう。

 峰キャンパスでは、フランス式庭園や農学部にもありますが、特に国際学部の建物の周りに集まっています。一番のお勧めは中央通りに面したB棟の前にある一本です。この木はかなり大きな木ですが、日当たりがよいせいで例年花つきが良好です。花時には辺り一面に甘い香りを漂わせます。A棟の教育学部側にも大きな木があるのですが、これは隣のシダレザクラが覆いかぶさり、日陰になるためあまり花つきがよくありません。このほかA棟の北側にも若木が植えられています。
 
 
思い出の香り

 わたしにとって一番思い出深いキンモクセイの木は、国際学部A棟とB棟の間の中庭にあります。今は、幹を根元から切られたので、ひこ生えの木が少し伸びてきた程度ですが、かつては堂々たる大木でした。国際学部にいたとき、わたしの研究室はちょうどその木の前にあり、すぐ上から枝を見降ろす位置にありました。満開の頃、研究室の窓を開け放っておくと、香りが部屋全体に充満します。授業や会議の後、部屋に戻ってその香りにひたっていると疲れが癒されました。わたしにとって至福のひと時でした。でも、その木は大きくなりすぎて、下の部屋の日当たりをさえぎるため、切られてしまったのです。本当に残念です。
 
 キンモクセイの近縁種としてギンモクセイというのがあります。放送大学栃木学習センターがある宇都宮大学図書館の正面玄関の前には、かなり大きなギンモクセイの木があります。ギンモクセイとキンモクセイの違いはまず花の色にあります。キンモクセイがオレンジ色の花をつけるのに対して、ギンモクセイの花は白です。また花の数もギンモクセイの方が少なく、キンモクセイのように花が木全体を覆うというような咲き方をしません。また、香りもキンモクセイほどきつくないので、注意していないと気がつかないうちに散ってしまいます。ほめて言うと、慎み深い貴婦人というところでしょうか。

 皆さんは、葉にとげとげがあるヒイラギの木はご存知でしょう。節分でイワシの頭をその小枝に刺すあの木です。それから、このヒイラギとモクセイのちょうど中間という感じのヒイラギモクセイという木もあります。これは生垣によく使われています。この二つも、実は、モクセイの仲間だそうです。確かに、よく観察してみると、ヒイラギにもヒイラギモクセイにも小さな白い花が咲き、近くによってかいでみればかすかな香りがあります。

 峰キャンパスのキンモクセイの花時は例年9月の終わり頃ですが、天候不順なので今年はどうなるでしょうか。なお、ギンモクセイのほうがキンモクセイよりも少し早く咲き出します。いずれにせよ、間もなくよい香りを辺りに漂わせるはずですから、学習センターを訪れた折にでも、国際学部の周辺を散歩してみてください。
 
(鯨井 佑士)
 
 

 
 
 
◆ 【実踏】キンモクセイを探して  ◆
 
 
鯨井所長のエッセイで紹介された花を実際に訪ねてみました。(9月21日撮影)
 
 
 
 
 
【写真上2点】国際学部B棟前にある大きなキンモクセイの木。ちょうど栃木学習センターから駐車場へ行く道の途中にあるため、花の時期はここを通るのが楽しみです。このほかフランス式庭園の南東の角にも大きな木があります。
 
 
 
 
【写真左】国際学部A棟とB棟の間の中庭にある、鯨井所長思い出のキンモクセイ(写真中央)。大きくなりすぎてしまったため切られてしまいましたが、ひこ生えの木が懸命に枝をのばしていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【写真上2点】栃木学習センター前にある大きなギンモクセイ。今年はどんな花を咲かせるのでしょうか。
 
 
 
 
【写真左】節分でおなじみのヒイラギは、じつはモクセイの仲間(モクセイ属)。近づいてみると小さなツボミが見られました。ヒイラギの葉は普通トゲがありますが、年月がたち老木になると写真のように葉にトゲがなくなり、丸っぽくなります(これは人間の場合と似ていませんか?)。フランス式庭園の南東角で。
 
 
 
  
 
~ 開花の様子は、改めてこのコーナーでお伝えします! ~
 
 
 

 
 
キャンパスの四季 2010/09/21
 
 
 
 
ちいさな秋
 
キャンパスにも、かすかに秋の足音が・・・。
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