キャンパスの四季 2010/05/19
 
 
 
 
 
  
青葉の頃
 

 
 今年は、4月、5月と気温の低い日が続きましたが、季節の歩みは確実に進行し、峰キャンパスも新緑が目にしみる頃となりました。暑さの到来とともにこの緑は日に日にその濃さをましていくことでしょう。
 いつもご紹介していることですが、峰キャンパスはもともと宇都宮高等農林学校の敷地であったせいで、植物見本園のようなところがあり、大変珍しい樹木が植えられています。今回はそのうちから、ちょうどこれから花をつける3種類の樹木をご紹介しましょう。
 
 
◆宇都宮高等農林学校の「残り香」◆
カルミア

 アメリカシャクナゲとも言います。イギリス庭園の中にあります。シャクナゲという名前から推測できるように、植物学的にはツツジ科に属し、シャクナゲなどとともにツツジの仲間です。小さな花をたくさんつけますが、つぼみに突起あるので、よく金平糖(こんぺいとう)にたとえられます。宇大のカルミアはピンクがかった白ですが、花の色には幅があり、園芸品種では赤色の強いものもあります。
 カルミアと言えば、園芸が好きな人なら、庭木に1本くらい植えているかも知れません。でも、このカルミアを見たらきっとびっくりします。宇大のイギリス庭園のカルミアは、目視ですが、高さが5メートル以上、幅も同じくらいあります。普通、庭木にするのは50センチから1メートルくらいの苗木です。こんなに大きくなるとは思ってもみないでしょう。この木の背後にももう一本やや小ぶりなカルミアが控えています。松なんかだったら、夫婦松(めおとまつ)とでも言うところでしょうが、夫婦(めおと)カルミアと言うのは変でしょうか。
 カルミアは北米原産で、日本には大正期に移入されました。宇大のカルミアもおそらくその頃、高等農林の発足当初(大正末年)に植えられたものでしょう。年月もたっていますが、こんなに大きくなったのは、この場所が木にとってよほど適しているからと思われます。わたしは自分の庭にカルミアを植えて枯らした経験があるのでよくわかるのですが、この木は非常に場所を選びます。まず、酸性の土壌でないと育ちません。花木ですから、葉には日が当たらなければいけないのですが、根元は乾いてはいけないので、日が当らずむしろ湿気があるところを好みます。この点、イギリス庭園の中はうってつけだったのでしょう。
 原産地では10メートルに達する木もあるとのことですが、日本でこれだけ大きい木は珍しいでしょう。よそに大きな木があるということを聞いたことがありませんので、あるいは日本一かもしれません。そうでなくとも、有数のものでしょう。間もなく開花しますので是非訪れて見てください。
 
 
 
  
 
 
イギリス庭園にあるカルミア(アメリカシャクナゲ)。小ぶりの木【写真左上】に寄り添うように、高さ5メートルもあろうかという大きなカルミアの木【写真左】が立っています。
 
 
 
 
 
  
 
今朝眺めたところ、樹木全体に金平糖のような淡いピンク色のつぼみをつけており、愛らしい花が一輪だけ咲いていました。 (5月19日撮影)
  
 
 
 
 
◆校舎の谷間に咲く「幻の佳人」◆
サンショウバラ

 この木はどこにあるか探すのがむずかしいかもしれません。国際学部のA棟とB棟の背後の中庭の一番奥にちょっとした築山があり、そこに植えられています。名前のように、バラの一種ですが、われわれが庭木として普通に見るバラ(西洋バラ)と違います。西洋バラは品種改良を繰り返して作出されたものですが、このバラは、野生のノイバラ、海浜に咲くハマナスなどとともに原種に近いバラです。葉がサンショウに似ていてトゲもあるのでこの名を付けられたものと思われます。
 サンショウバラは自生地が限られており、箱根と富士山の周辺地域(神奈川、静岡、山梨)のみに生育します。従って、栃木県では非常にめずらしいです。もちろん、どこかから苗を持ってきて植栽したものでしょうが、原産地以外ではなかなか育てるのがむずかしい木です。
 5月~6月にピンクの美しい花を咲かせます。ただし、一つの花は一日しか持ちません。ですから、注意していないと花を見そこなってしまいます。自生地が限られているうえに、花期が短いので、サンショウバラはある意味で幻の花です。ハイカーの中にはこの花を求めて山に登る人もいます。わたしも若い頃、この花を見るために丹沢(神奈川県)の不老山という山に登った思い出があります。
 今年、宇大のサンショウバラは、この原稿を書いている現在、ちょうど開花しています。つぼみは次々に開花するのですが、すぐに散ってしまうので、1週間も持たないと思います。この花を見ようと思ったらお急ぎください。
 
 
【写真左】メインストリートから奥まったところにある国際学部A棟とB棟の間にある中庭は「秘密の花園」。ここにサンショウバラの木があります。
 
 
 
 
 
 
 
 
【写真右】近づいてみると、鮮やかな新緑の樹叢にピンク色の花が一面に咲いてます。
 
 
 
 
 
 
 
一つの花は一日しか持たないという「幻の花」、サンショウバラ。儚い命ゆえに抜けるような青空の下よりも、今日のような薄日の天気のほうが似合う気がします。(写真はすべて5月19日撮影)
 
 
 
 
 
 
  
  
 
 

◆新緑のキャンパスに漂う香気◆
ウケザキオオヤマレンゲ

 オオヤマレンゲというのはホオノキの仲間です。といってもわからなければ、モクレンの親戚とでも言ったらよいでしょうか。植物分類学の方では、マグノリア属と言いますが、コブシやタイサンボクなども同じ仲間です。さて、ウケザキオオヤマレンゲはオオヤマレンゲとホオノキの雑種で園芸品種です。オオヤマレンゲは花が下向きに咲きますが、ウケザキオオヤマレンゲはホオノキと同じように上向きに咲きます。これを「受け咲き」と呼んだのです。花色は黄色がかった白ですが、花芯に大きな赤い雌蕊があります。
 花自体も美しいですが、この花の特徴はその香りです。ホオノキもそうですが、とてもよい香りがします。香りのよい花木として、ジンチョウゲ、クチナシやキンモクセイがよく挙げられますが、ウケザキオオヤマレンゲはそれに劣らないと思います。
 宇大のウケザキオオヤマレンゲは、国際学部C棟の南側の通路のグランド寄りにあります。あまり大きな木ではなく、しかも元気がよくなくて枯れ枝が目立ちます。でも、けなげにつぼみをつけていますから、間もなく開花して、あたりに香気を漂わせることでしょう。センターに来た帰りでも、近くを通ってみてください。うっとりした気分になること請け合いです。 
( 文 ・ 鯨井 佑士 )
 
  
 
 
 
その名のとおり上向きに咲きはじめたウケザキオオヤマレンゲ。満開になるとどんな香りがするのでしょうか。楽しみです。
(5月19日撮影)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
イギリス庭園内を悠々と散歩するハトに出会いました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
【写真上2点】イギリス庭園に隣接するフランス式庭園は百花繚乱。色とりどりの花が咲き、宇大生だけでなく市民の憩いの場にもなっています。(5月19日撮影)
 
 

イギリス庭園で見かけた繊細な若葉のディテール。(5月19日撮影)
 
 
 
 
今回、鯨井所長によるエッセイで紹介されたカルミア、ウケザキオオヤマレンゲにつきましては、満開になりましたら改めて写真を掲載いたします。
ご期待ください!
 
 
 

 
 
キャンパスの四季 2010/05/19
 
 
 
 
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