キャンパスの四季  2010/03/20
 
 
 
 
 
サクラの季節
 

 3月も半ば、これから本格的な春の到来を迎えます。ウメの花が終わり、モモのつぼみが膨らんできました。シダレヤナギも新芽の糸をかけています。間もなくサクラの季節になるでしょう。サクラの名所になっている陽東キャンパス(工学部)には及びませんが、宇都宮大学峰キャンパスには、本部棟の東側や農学部の建物の間にソメイヨシノが何本もあって十分お花見が楽しめます。その時期になると、夕方学生たちが花の下に集まり、お花見コンパをしている姿が見られるでしょう。

 本部棟東側には4本ほどサクラの古木があります。残念ながら、最近樹勢が弱っています。第一の原因は老齢化ですが、駐車場の脇にあるのも木にとっては条件がよくありません。ソメイヨシノの寿命は樹木としては短く、普通は50年くらいと言われています。植えてから20年目くらいが一番花付きがよいそうです。開学の頃に植えられたのでしょうから、そろそろ寿命なのでしょう。既に枯れた木もあり、先年切り倒されてしまいました。それでも、残された木はけなげに花をつけます。大きく枝を広げ、花をつけた姿は風格があります。

 農学部のサクラは農学部棟の中庭に2本と農芸化学棟のイギリス庭園寄りの脇に1本あります。これらも古木ですが、こちらのほうが元気がよいようです。このほか、構内にはシダレザクラが何本かあります。特に国際学部棟の東側にある木は見事です。キャンパスの中を探せばもっとほかにもサクラが見つかるでしょう。


 
 
 現在栃木学習センターが入っている図書館の敷地はかつて樹木が植えられちょっとした林になっていました。さまざまな樹木が生育していましたが、ちょうど今の所長室のあたりに大きなオオシマザクラがありました。まわりの木が育っていない頃は、ひときわ大きく他を圧し、花時にはそれは見事なものでした。私はその花を見るたびに、まるで芝居の書割を見るようだといつも心の中で思っていました。花の色は淡い緑に近い白であったでしょうか。残念ながら、新しい図書館が建てられたときに切り倒されてしまいました。でも、私の記憶の中では今でも咲き続けていて、この季節になるといつも思い出します。

 サクラの季節は教師にとってほろ苦い思いがする季節です。それは、別れの季節だからです。卒業式で卒業生を送り出したあと新入生を迎えるまでしばらく間があります。長年そういうことを繰り返してきたせいでしょうか、この季節になると何か気が抜けたような気分になります。軽い鬱状態なのかもしれません。サクラの花はドンちゃん騒ぎをして眺めるよりそのような気分で眺めるほうがふさわしい気がします。「春愁」ということばもあるではありませんか。

 百人一首に収められている紀友則の有名な和歌に「ひさかたの光のどけき春の日にしず心なく花の散るらん」というのがあります。この和歌は、普通、次のような意味に解釈されています。「日の光がのどかに差している春の日だというのに、桜の花は静かな落ち着いた心をもたず、なぜ散り急ぐのか。」「しず心」を持たないのは字義通りには「花」ですが、実は、それは見る人の心の反映なのではないでしょうか。サクラの花の華やかさは、逆に速やかな凋落を予想させ、人を不安にするところがあります。坂口安吾の短編に『桜の森の満開の下』という美しくも恐ろしい作品がありました。

 今年のサクラの開花は例年より早く、宇都宮では3月末と予想されています。学位記授与式・入学者の集いの日(3月28日)には咲いているでしょうか。開花が報じられたら、皆さんも是非栃木学習センターを訪れ、お花見を楽しんでいってください。

(鯨井 佑士)
 
 
 
 
グラウンド西側にあるサクラ。日当たりが良いせいでしょうか、
いまにも開花しそうな佇まいです。(3月18日撮影)
 
 
 

 
 
 
「撮れたて」の写真とともにつづる・・・
 
* 峰キャンパス・花暦 *
 
 
今回、鯨井所長が紹介したサクラをはじめ、春の訪れを告げる樹木や草花を写真とともにご紹介します。春爛漫のキャンパスを、どうぞお楽しみください!
 
 
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 開花間近! サクラのつぼみがだいぶ膨らんできました!
 
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